日常には不思議なことがたくさんありますね。
以前わたしが頭を悩ませた光の速度や相対性理論、そして各種パラドックスなどなど。
今日も探求心に灯を点けて、日常の摩訶不思議を解明してみましょう。
さて、今日のお題は
水に浮く水
です。
言葉だけ読むと、水の上に水が浮くわけない、と思われるかもしれませんが、実際に起こりますし、これはわたしの実体験からテーマ付けしたものです。
皆さんも見たことがあるのではないでしょうか、コーヒーをドリップしているときに、カップに溜まったコーヒーに滴る雫がそのまま溶け込まずにコーヒーの表面を球状になって浮く様を。
はたまた、蛇口の緩みでシンクに水がタンタンと滴って、濡れたシンクの上に小さな水滴がパラパラと滑るように転がっていく様子を。
初めて見た時は「なんじゃこりゃあああああああああああああ!?」と驚いたものです。
水が水に浮くとは、これ如何に・・・。
静電気?それとも表面張力?
調べてみると実はこれ、界面活性剤(又はそれと同等の効果のある分子)が原因で起こる現象だそうです。
界面活性剤とは一つの分子に水に馴染みやすい部分(親水基)と、水に馴染みにくい部分(疎水基)があるもののことを言います。
一番身近な界面活性剤は食器洗い用の洗剤などですね。
油汚れなどを洗うとき、界面活性剤は、親水基が水に、疎水基が油に結びつき、水と油を馴染ませる働きをします。
さて、ではこの界面活性剤がどのようにして水の上に水を浮かせているのでしょうか。
では、水に界面活性剤を入れるとどういう状態になるのかを見てみましょう。
↓水中での界面活性剤の状態
図のように、水中では個々の界面活性剤が自由に漂います。
そして水面近くでは水に馴染む親水基を水に浸け、水に馴染まない疎水基を水の外に出してひしめき合います。
これは、水面に疎水基の薄い膜ができているということです。
ちなみに個々の疎水基の間には空気が保持されているようです。
まるで、水面にたくさんの毛が生えているようですね。
言うなれば、界面活性剤が分子レベルで水と空気をくっつけている、といったところでしょう。
ここまで説明すれば、不思議好きの人ならわかりますね。
スポイトなどでこの水を持ち上げ、滴下するとどうなるでしょう。
そうです、この疎水基の膜が水と水を分離し、くっつかないようにしているのです。
もちろん、水滴が大きすぎたり、滴下速度が速すぎたりすると膜が破れて溶け込んでしまうこともありますが、条件が整えば、この現象を起こすことは容易です。
水道水やコーヒー等には界面活性剤は入っていませんが、界面活性剤と同じ性質をもつ何らかの分子が要因でこの現象が引き起こされていると考えられています。
なぁ~るほど!と、調べてスッキリしました。
と最後に、不思議好きへのご褒美かな、とても面白いモノを見つけました。
その名も
水中シャボン玉
この水中シャボン玉も界面活性剤が成せる業なのです。
普通のシャボン玉は空気中に石鹸水等の膜でできた泡を浮かせたものです。
もちろん、泡の中には空気が入っています。
この気泡は非常に軽く、ゆっくりと落下しますね。
一方で、水中シャボン玉は普通のシャボン玉とは真逆の構造になっています。
先ほどの水滴が、疎水基の膜(空気の膜)を保持したまま水に沈むことによって起こる現象です。
この空気の膜の中にはもちろん水が入っており、普通の気泡よりも重いため、水中にふわふわと漂いながら、ゆっくりと上昇してきます。
動きも真逆ですねw
構造は以下の図のとおりです。
水中シャボン玉はYoutubeでも観られるので貼っておきます。
この動画で水に浮く水も観察できるので是非観てみてください。